人が両側から覗き込んで見下ろすから、

人が両側から覗き込んで見下ろすから、

水が鉛のようで、速く上手く泳げなくて、草地で本領発揮しようと企んだ。
日暮れ前の草地には 球投げをする人の投げた黄色い球が ぼくの行く手を阻んだが、ぼくは変に背を屈め 摺り足ながらも、向かってくる球の速度が えらくスローモーションだったので、難なく躱しつつ進むことが可能だった。
日が暮れるにつれ、次第に人が退け、白い野外電灯が消えていき、最後に 点検のためなのか、不審者を炙り出すためか、人工的に一つずつ数度明滅したとき、もう殆ど夜に近まって人が掃けきったかと思ったころに、木ノ下に似た、Dr.キリコ風に痩せて小さな体躯の人が来たので、ぎくりとしたが、調査着のトレーナーパンツ姿の彼女は「仕事ですか。」と問うただけで 不審視をもせずに あっけなく去った。
最後の電灯の光か、薄暮の弱光を一点に反射させ、その小顔には大きな丸眼鏡の 縁と表面が 白銀色に強調された。
草地の向こう側は斜面になっていた。その草の生々しい印象が残っている。草地では水泳の練習は出来ないと、一点に落ち着いてから気付いていた。
ぼくの着地点となったことに素直に喜ばない優等生:小林の本性を 小柄で背の低い彼には大きな紫のトランクス型の水泳パンツごとひき剥いで暴いて 羞じらいと共に吐かせてやりたいと そればかりに執念を燃やしつつ起きたために、自分の根っからの性悪さを知らされ、第二世界に浮上したとて 綺麗言は あいなく。

一度目の夢で 強制的に完成させられた実家の自室に 元の通りに貼られた父上のポスター:学習机の前にあたる奥の右側には 紫を基調とした気品ある衣装で黒髪の;窓際に近い左側には 太陽光みたいな淡い黄金の光を横から当てて撮影したような、童顔に幼げな瞳に、片方の法令線が妙に際立つ画だった。静かな室内で 人の目にずっと直視されている擽ばゆさと 確かであたたかな心地に浸ったまま目覚めながら、窓辺の左側のその面影が似ていたせいで、Rくんの名ばかりを頼る 昨日の寝床だった。
そこでは、ゴム人形みたいに、体のパーツまでバラバラになって、入れ替わる。やることといえば 抱きあって眠るだけの、乳児の世界。Rの姿は少年のそれ。